千の刃濤、桃花染の皇姫 感想
というわけで「千の刃濤、桃花染の皇姫」以下千桃をクリアしましたのでその感想をば。
ネタバレあるんでまだ未プレイの方々はご容赦ください
オーガスト作品は「大図書館の羊飼い(無印とDreamingSheep)」から入り
今年の上半期に「夜明け前より瑠璃色な」を経て今作「千の刃濤、桃花染の皇姫」のプレイと相成りました。
それでは毎度の様な感じで行きます
・シナリオ
発売日に買って27日にクリア、途中CSゲームに浮気とかしてた割にすんなり終わった感じなのでボリュームとしてはそんなに無い方だと思います。
序盤から謎要素を出しつつ展開していきつつ物語に没入出来る良いシナリオだったと思います、少なくとも本筋は。
キービジュアルだったり公式HPを見るたびに
「時代がかった古い衣装来てるが学園の制服っぽいのもあるしどういう世界観なんだ?」
と気になって発売を待っていましたが蓋を開けたらとても丁寧且つ魅力のある作品に仕上がって居たと思います。
主人公もとてもらしく機能しておりヒロインの魅力を引き立てていた様に思う
なんというかメッセージ性を感じるシナリオでもあったかなぁとも思いました
共和国に侵略を受けて敗戦した皇国が舞台だというのもあり、もちろん現実はどうだか知りませんが。
ただ学園の設定だけは微妙に必要だったかどうか賛否分かれそうな気がしますね・・・
制服着せるための方便じゃないかって感じはしました。
ラスボス戦の締め方とか主人公の復活とかはちょっとご都合主義という気がしましたけど、特に重い救いのない虚無感シナリオをウリにしてるメーカーさんじゃないと思うので良いと思いました。
後武人は子を成す事が出来ない設定は掘り下げるか解決するかした方が良かった様に思う
今作の特徴として挙げたいのは選択肢によるフラグ管理が必要無いという事がまず一つ
選択肢は本編中にメインヒロインである滸・奏海・エルザ・古杜音の順に発生しそれぞれのルートへ行きます。誰も選ばないと全ての決着が付く朱璃ルートになります
この各ヒロインの分岐はわかりやすく初見でも迷う事はほぼないと思います
ですがこの選択肢→ルート分岐した後のボリュームが凄い短いです
しかも本筋と顛末はあまり変わらないのでルート分岐って感じは薄いと思います。
ちなみにサブキャラ3名の紫乃・睦美・小柚の話は誰かしらクリア後開放される「余談」
所謂アフターストーリー項目でそれぞれ1つずつみる事が出来ます。
その他本編中感じた事は次項のキャラ別解説でいきます。
・キャラクター
クリア順はまんま選択肢が発生した順に滸→奏海→エルザ→古杜音→朱璃
期せずしていつもの筆頭を最後に残すやり方になりました
・稲生 滸
字が「ほとり」で一発変換出来ない
記憶を無くした主人公をそうなる前から傍で見守ってきた幼馴染ポジに近い感じの娘でしょうかね、皇国でもトップクラスに影響力の高い稲生家現当主
序盤は敗戦し会長だった父を失いレジスタンスとなった彼女が纏める奉刀会と呼ばれる集まりで彼女が如何にして頑張っていくかという話になるのだがこの辺がもう彼女の専用ルートっぽい話になっている
ルート分岐後はイチャイチャした後モノローグで物事が解決して終了してしまいます
というのも彼女のルート分岐は物語的には序盤なため原因になったアイツも本性出してこないしヒロイン数名は登場こそしてるけど主人公と絡んですらいないぞって状況で物語が終わってしまうんですね
なので仕方ないとはいえこの扱いは酷いんじゃないかなぁ・・・と思いました
彼女のルート分岐への選択肢選ばなくても数馬は倒すし不知火も使いこなすし本筋終盤でもきっちり活躍しますし個別ルートとはなんだったのか・・・イチャイチャするためか・・・。
彼女自身は若さゆえの未熟さと百戦錬磨な剣術の腕とが同居しててなんと会のためにアイドルもやってて大丈夫かこの設定の盛り具合って感じるが可愛い娘には違いない
・鴇田 奏海(翡翠帝)
宰相小此木に祭り上げられた傀儡皇帝 通称「翡翠帝」にして主人公の義妹
皇国敗戦後事実上の軟禁状態で帝宮で暮らしていたが主人公の生存を知りあの手この手でメインストーリーに絡んできます
「お兄様(主人公)のためならなんだってやってやる」って気概を持っており物語上でも「その実暴れ馬」と評されている強かで武人の娘と思わせる娘
とても良い娘なのだが一度お兄様絡みで悪い事が起こると何をするかわからない、その翡翠帝という立場も利用し何をしでかすかわからない様は圧巻の一言
選択肢で分岐すると彼女によりウォーレン共和国総督が亡き者となるが、彼女のその行動が実はその後本筋の方で起こるはずだった空爆による散る5千人の命を助けてしまっているのだから驚きである。
こういう強かな娘は凄い良いと思います。
・エルザ ヴァレンタイン
共和国総督の娘にして共和国軍人のエリート
この娘の印象はとにかく「格好いい」
主人公達からすると敵陣営にいる彼女がどういう形で活躍するかは是非本編でお確かめあれ
特に
「命を掛ける対象を選ぶ自由は、人間に与えられた最後の権利です」
このシーンは痺れましたねぇ
時に悪役、時に頼もしい味方として君臨する彼女は発売前の印象から良い意味で裏切られた感じがしました
スパイスとして意外と可愛い女の子らしさがあるのもきいてるなぁと
奏海とのコンビが良い味出してましたね
・椎葉 古杜音
今作の天使枠(?)な皇国における齋巫女に就任した娘
他のヒロインがそこまで純朴じゃないせいか一際その育ちの良さが出ている
そのシリアスブレイカー兼エルザに水ぶっかけ係兼ミツルギの花嫁っぷりにプレイヤーは癒しを得る(?)
献身的で芯が強くて天使でおっぱい大きいとか殺しにきてますね
物語上一番最後の分岐に居るヒロインなので扱いも立場的にも朱璃に次いでナンバー2
個別の扱いも最後の最後だけあって良かったと思いますね。
・宮國 朱璃(桃花染皇姫)
今作筆頭にして敗戦後落ち延びて復讐を誓うも徐々に皇帝としての素養が覚醒していく系姫様
小此木に対する復讐心であそこまで成長したとなると小此木さんの立ち振舞は完璧じゃないにしろ結果的には正解だったんだなぁと思わせる
翡翠帝という傀儡を眺めつつも自分の置かれてる立場に甘んじる事もなく、主人公と関わる中で復讐者としてではなく一国民として皇国のために身を捧げる様に改める
皇祖様のアレコレ背負わされる羽目になって腐らないでいたのは素直に凄いと思う
今作の物語は彼女のためにある様な感じがあるんですよね、主人公と真の意味で添い遂げて欲しいのは朱璃ちゃんだなぁと
最後まで主人公の主としての立場がブレなかったし良かった。
ちなみに彼女にはとある理由で涙を流せない理由があるけれど、個人的に願わくば普通の涙を流せる様になって欲しいな・・・って思います。
・鴇田 宗仁(主人公)
今作一番お疲れ様でした賞、豆腐大好き系チート主人公
発売前から「こいつ絶対完璧超人だろうな」という予想が漠然とあったのだけれど当たらずもイケボでハーレムが許容されてしまうエロゲーの主人公としての完璧超人でしたね・・・
皇祖様なら
「自分が作ったのだからこれぐらいじゃないと困る」
と言いそう。
人格的に問題なくて作中最強の男とかヒロイン総取り出来て当然だよなぁと
気になった点としては、記憶喪失になる前の「ミツルギ」としての人格と「鴇田 宗仁」としての境目がちょっと物語上曖昧になっちゃってると感じた
結局ミツルギさんの犠牲の元諸悪の根源を断つ事は出来たのだけれどそこら辺が曖昧なのもあってちょっとうーん?とはなった。
ラスボス戦の結果皇祖様は朱璃ちゃんの中に溶け込んだ形だけどミツルギさんは諸悪の根源さんと仲良く根の国で暮らしている事でしょう。
・来嶌 マクスウェル 紫乃
サブその1
皇国人と共和国人のハーフなれど特に不自由せず財閥総帥という主人公とは別の意味でチートな方
(脚本上こういう役が居ると便利なんだろうなぁとか言ってはいけない)
出番率はそこまで多くない印象、非戦闘員なのもあって彼女が輝くのは日常シーンと裏方
彼女メインの余談ストーリーは本編ではみられない可愛い彼女がみれるのでオススメ
そんな感じだけどその出番率もあって今後のフォローが期待される
・更科 睦美
サブその2
稲生家と同じく皇国でも有数の武人の家柄
奉刀会からは抜けている、本人はぼかしていたが恐らく密かに戦いになる時を待って研鑽を積んでいたに違いないでしょう
戦前は対立しがちな稲生家と槇家の調和役だったというけれど一度戦場に出ると槇が舌を巻くほどのバーサーカーと化すお姉様
身長が高い事を気にしていたり実は宗仁に惚れている事を隠して奉刀会の若い男子を何人も泣かせたらしい、まさに魔性泣きぼくろ
物語序盤は数馬の嫁さん的立ち位置になる。
・伊那 小柚
サブその3
イナゴじゃありません!でお馴染み忍者枠
滸ちゃんを尊敬してて主人公にちょっとした嫉妬の気持ちを向けてたらしいがあまりそんな感じしなかった、普通に良い娘だと思う
それよりも本編の密偵成功率と貢献率と可愛さをみてあげるべき
そんな彼女の話では小動物的可愛さが炸裂してます。
・槇 数馬
序盤の出番率の高さとか格好良さとか声が良すぎる事からサブの野郎と言えど紹介する事にした
主に序盤奉刀会の滸ちゃん辺りの話で活躍、以後は負傷を理由にラストまでまともな出番無し
とはいえ滸ちゃんを成長させ奉刀会の地盤を固めた事は大きい。
散々死亡フラグを立てた後睦美さんの元に空から落下して生還したり
兄貴分として不器用ながらも活躍し皇国を走り抜け、彼も武人のあり方に変化を感じていたのかもしれない
劇中でも触れられてたかもしれないが、彼は皇国が平和になったらどういう風になるのか・・・戦いに生きた者の永遠のテーマだと思いますね。
・システム
前作大図書館を踏襲してて便利さはあれど不便さは感じない物になってるかと
タブレットモードなどが今作の特徴だと思いますがデスクトップゲーマーなのでそこら辺の詳しい所や使い勝手等は然るべき所へどうぞ
マウスジェスチャーがありますが、マウス・キーボードをただクリックして進めるスタイルを長く続けてたせいか思い出してはまた忘れ・・・の繰り返しなので合わないのだなと感じた。
・総括
前作大図書館の羊飼いがそこそこボリューミーに感じた中今作はすっきり本筋メインで個別はあくまでそれに沿う形で纏めてきたなぁという印象です
個別の扱いがちょっとなぁと思う以外は非常に楽しめましたし諸悪の根源さんは憎ったらしいしセミがやたらリアルに描かれているし何より女の子が可愛い
ただやはり学校の設定の存在に首をひねる作品でもあったかなぁと
前作を省みるならアペンド的なFDサムシングが出そうな気がしますねぇ・・・
兎にも角にもやってて楽しかった作品だったのでおすすめです
(朱璃ちゃんのなんともいえない表情が良い)
スクショ機能あるんですけど画質悪く感じた。
次はけよりなのFDかFORTUNEかユースティアやりたいなぁ・・・
DMM様セールしてくださいませんかね
それでは
お疲れ様でした。